なかなか書く時間を割けない状態が続いているので、とりあえず(1)の補足回として短いものを出しておきます。
まずは前回分の記事から該当部分をそのまま引用。
この部分を読んで、勘の良い方は違和感を抱いたのではないでしょうか。その理由は11条4項にあります。つまり・・・
まずは前回分の記事から該当部分をそのまま引用。
(前略)被害者の安西が(加害力士とは別の)兄弟子とともに陸奥親方へ暴力の存在を訴えたことは、規程11条1項に則った行動と言えるでしょう。第11条(通報)1 協会員、職員及び相撲部屋に所属する協会員以外の者(女将、コーチ、マネジャー等を含む。以下「部屋に所属する者という。)は、次に掲げる協会の内部通報窓口のいずれに対しても、禁止行為の通報・相談を行うことができる。(1)コンプライアンス担当理事(2)コンプライアンス委員会または同委員会委員(3)通報者が所属する一門のコンプライアンス担当年寄(4)通報者が所属する相撲部屋の師匠(5)事務局主事(6)公益通報者保護規程第2条に定める協会の公益通報窓口今回の場合、安西は各号に列挙された窓口の中から(4)通報者が所属する相撲部屋の師匠 を選んだことになります。次に、安西からの通報・相談を受け付けた陸奥親方は、11条4項に基づき担当理事の花籠親方へ報告を行いました。なお、この報告は義務であり、報告を怠った場合には懲戒処分が課される旨、12条に記されています。
第11条
4 コンプライアンス担当理事以外の内部通報窓口が、禁止行為の通報・相談を受け付けたときは、その内容を、ただちにコンプライアンス委員会事務局を経由して、コンプライアンス担当理事に報告する。
第12条(年寄等の報告義務)
1 年寄及び事務局主事は、禁止行為または禁止行為と疑われる行為(以下「禁止嫌疑行為」という。)を知ったときは、自ら直接、すみやかにコンプライアンス委員会事務局を経由して、コンプライアンス担当理事に報告しなければならない。
2 前項の報告は、禁止行為または禁止嫌疑行為に関して現に知った情報が不十分なものである場合においても、すみやかに行わなければならない。
3 年寄または事務局主事が、禁止行為または禁止嫌疑行為を知ったにもかかわらず、すみやかな報告を怠ったときは、賞罰規程または職員就業規則に基づく懲戒処分を課するものとする。
この部分を読んで、勘の良い方は違和感を抱いたのではないでしょうか。その理由は11条4項にあります。つまり・・・
「コンプライアンス担当理事以外の内部通報窓口(=陸奥親方)が、禁止行為の通報・相談を受け付けたときは、その内容を、ただちにコンプライアンス委員会事務局を経由して、コンプライアンス担当理事(=花籠理事)に報告する」
としているのだから、陸奥親方が最初になすべき手続きは、「コンプライアンス委員会事務局」への報告なのです。それが今回の場合、断定はできませんが、新潮の記事(※1)などを読む限り、どうも直接花籠理事のもとへ持っていったのではないかという疑いが出てきます。
この条文の趣旨としては、おそらく13条にある理事長の初期対応(前回の記事参照)を受けてスムーズに調査へと移行できるよう、また、親方衆同士の報告としてしまうと、どうしても「なあなあ」な関係に陥りやすい点も懸念していたのかもしれません。
ただ、どれだけ意図を伴って整備した規程も守られなければ意味がない。残念というほかはありません。
※1 当初の陸奥親方への相談から約3ヶ月後、被害力士がコンプライアンス委員長に電話をかけたところ、委員長は事件について「聞いていない」と答えた旨が記されている。
としているのだから、陸奥親方が最初になすべき手続きは、「コンプライアンス委員会事務局」への報告なのです。それが今回の場合、断定はできませんが、新潮の記事(※1)などを読む限り、どうも直接花籠理事のもとへ持っていったのではないかという疑いが出てきます。
この条文の趣旨としては、おそらく13条にある理事長の初期対応(前回の記事参照)を受けてスムーズに調査へと移行できるよう、また、親方衆同士の報告としてしまうと、どうしても「なあなあ」な関係に陥りやすい点も懸念していたのかもしれません。
ただ、どれだけ意図を伴って整備した規程も守られなければ意味がない。残念というほかはありません。
※1 当初の陸奥親方への相談から約3ヶ月後、被害力士がコンプライアンス委員長に電話をかけたところ、委員長は事件について「聞いていない」と答えた旨が記されている。